たまにしか書かない詩人のように 

詩のようなもの、これらの恥ずかしい日常に。  恐怖に目覚めたら嗤うがいい辛くなったら感性の目覚めを喜べ、羽を手に宿命の鍵を拭け

スポンサーサイト

Posted by かしろう on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

この詩人--中島敦

Posted by かしろう on   0 comments   0 trackback



憐れみ讃ふるの歌


ぬばたまの宇宙の闇に一ところ明るきものあり人類の文化

玄々たる太沖(たいちゅう)の中に一ところ温かきものありこの地球(ほし)の上に

おしなべて暗昧(くら)きが中に燦然と人類の叡智光るたふとし

この地球(ほし)の人類(ひと)の文化の明るさよ背後(そがひ)の闇に浮出て美し

たとふれば鑛脈(こうみゃく)にひそむ琅玕(ろうかん)か愚昧の中に叡智光れる

幾萬年人(ひと)生(あ)れ継ぎて築きてしバベルの塔の崩れむ日はも

人間の夢も愛情(なさけ)も亡びなむこの地球(ほし)の運命(さだめ)かなしと思ふ

學問や藝術(たくみ)や叡智(ちゑ)や戀愛情(こいなさけ)この美しきもの亡びむあはれ

いつか來む滅亡(ほろび)知れれば人間(ひと)の生命(いのち)いや美しく生きむとするか

みづからの運命(さだめ)知りつゝなほ高く上(のぼ)らむとする人間(ひと)よ切なし

弱き蘆(あし)弱きがまゝに美しく伸びんとするを見れば切なしや

人類の滅亡(ほろび)の前に燦然と懼(おそ)れはせねど哀しかりけり

しかすがになほ我はこの生を愛す喘息の夜の苦しかりとも

あるがまゝ醜きがまゝに人生を愛せむと思ふ他に途なし

ありのまゝこの人生を愛し行かむこの心よしと頷きにけり

我は知るゲエテ・プラトン惡しき世に美しき生命生きにけらずや

屹(きっ)として霜柱踏みて思ふこと電光影裡(でんこうえいり)如何に生きむぞ



----------------------------------------

中島 敦(なかじま あつし)1909年(明治42年)5月5日 - 1942年(昭和17年)12月4日、東京帝大国文科卒、作品は「山月記」「木乃伊」「文字禍」「歌集・和歌でない歌」など、33歳で早逝、気管支喘息だった。

スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://sin411.blog134.fc2.com/tb.php/121-9191f979
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。